蛙張のフォーマルな日傘
着物用の上掛けを解いて傘を作る依頼が来ました。
この素材がシルクの絽織で銀糸を使ったとても高級な品物でした。
老舗の着物屋さんから来た以来ですが、解いた状態で素材をもらってそれを二重張の蛙張で作りました。
裏生地は黒のTC素材でこれにはUV加工、防撥水加工を施してあります。
表の素材は銀糸を模様に使ったシースルータイプの織り生地で少し硬めですが、傘を貼るのにはとても綺麗なラインが出るタイプの生地でした。
上の完成した傘の写真のように裏生地にTCの無地を使って、蛙張で傘を張り上げました。
素材がかなり違うので生地の伸縮率の違いで表と裏の生地の張の調整がかなり難しかったです。
傘を開くと縁の部分にシースルーの生地が現れて、フォーマルな外出着にはぴったりな日傘になりました。
ハンドルは樫の木を削ったタイプの形になっています。
二重張で生地を多く使った傘ですが、全体的には軽く仕上げることができました。
着物を解いた生地だったので、傘を2本取ることが出来ませんでしたが、1本の傘の2コマだけ黒のレース生地を使って仕上げることが出来ました。
その2コマは銀糸は使っていないので模様は出てませんが、出来上がった傘としては十分フォーマルな完成度の高い傘に仕上げることが出来ました。
思い出深い着物や上掛けを傘とかそのほかの小物にして使われる方がとても増えているように思います。
そんな方達の少しでもお役に立てて、新しく身の回りのものとする事が出来て、またお客様が喜んでいただけると、職人冥利に尽きますね。